火花

どーもBJRYOです






今回紹介するのはこちら




IMG_0624[1]





又吉直樹著 『火花』です




羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」と同時受賞した、2015年上半期の芥川賞受賞作です。
当時あれほど世間をメディアを賑わせた作品だけに、聞いたことのある方は沢山いらっしゃると思います。
しかし、読んだことはない。
一体何がそんなに良かったのか?

という疑問を長らく感じていた方もそれ以上にいたのではないでしょうか。


斯く言う僕もその中の一人でした。


偶然この『火花』をいただき読み始めました。


今回は何故『火花』という作品が大ヒットし、人々の心を捉え魅了したのかをBJなりに解説していこうと思います。




作品紹介




まず初めに、この『火花』という作品がどれだけ凄い作品だったのかを紹介します。


芥川賞という言う賞は、以前「コンビニ人間」という作品でも紹介しましたが、「新人が書いた短編・中編の純文学」を対象に贈られる賞です。


純文学というのは、”より芸術性に焦点をあてた文学の総称”で、それを純文学だと感じるのかどうかは読者に委ねられています。

しかしこの『火花』は芥川賞を受賞しているので、限りなく純文学だと言える作品です。つまり読者に、物語の内容や表現を芸術だと思わせたということです。


2017年2月時点で、単行本が253万部・文庫本が30万部売れています。
単行本の売り上げだけで数えると、1935年の第一回芥川賞以来歴代一位の発行部数なんだそうです。


そしてこの記事を書くにあたってネットでどのような評価をされているのか調べたところ、なんと大半の方が軒並高評価していました。

本が売れないと言われている現代に現れた怪物。
『火花』吹くこの怪獣の謎に迫る!!



あらすじとその魅力




まずはあらすじをさくっと紹介します。


~あらすじ~

売れない芸人徳永が熱海の営業先で出会った神谷という先輩芸人。
確固たる信念を抱きながら芸人として生きる神谷に惹かれていった徳永は、居酒屋で神谷を師と仰ぐことにしました。
同業者として、先輩後輩として、師弟として、同じ場所を目指す同志として、徳永と神谷は芸人として生きていきます。
そんな2人が繰り広げる時に痛快で、時に儚く、そして切ない人生讃歌。
2人が辿り着く先には何が待っているのか・・・





この『火花』という作品は、一度読んでみればすぐに分かると思いますが、限りなくリアルに近いフィクションです。徳永という芸人が、著者であるお笑いコンビピースの又吉直樹さんにしか見えません(笑)

調べてみると物語の中で徳永が師事し、天才・カリスマだと表現されていた神谷という芸人にもモデルがいるそうです。


著者又吉さんは「芸人という世界のほんの片隅でもいいから世間の人にもっと知ってもらいたい」という思いでこの小説を書いたそうですが、


実はここに!この『火花』が人々を惹き付けた理由があったんだとBJは思いました。



その理由とは、



お笑いコンビピースの又吉直樹という
既に世間に認知されている芸人が書いているから




です。






・・・えっ!?そこぉぉ!?!?!?


って思いましたか?(笑)


「そんなの読む前から誰だって知ってるよ!」「だからこれだけ大ヒットしたんでしょ!」

という声が聞こえてきますね。



勿論発売前から話題になり、世の中に広く宣伝された状態で刊行したことが本の売り上げに繋がったことは事実だと思います。しかしそれだけで、物が売れないと言われている今、本が280万部以上売れ、ドラマ化され、今年2017年に映画化までされると思いますか?


一度言いましたが、この『火花』を読んだ大半の方が軒並高評価をしているんです。

失礼なことを言いますが、言ってもテレビで大活躍されている芸人さんではありません。


恐らくですが、最初にドカンと売れた後はそれを読んだ読者の口コミが広がり、売り上げを伸ばしていったんじゃないかなと思います。

”世間に認知された芸人が書いた小説”の魅力はここだとBJは感じました。



芸人が書いた小説




この『火花』を読み終わって一番最初に思ったことは、とにかく文字から絵を浮かべやすいなということでした。

自伝的な側面のある小説だとしらずに読んだBJは、読みながら「おや?これはひょっとして自伝?」と直ぐに思いました。この事実は、僕がピースの又吉さんを知っているからこそ起きたことです。

そして、言っていませんでしたが口コミで高評価をしていた読者の方々の投稿を読んでいて気付きました。「普段あまり本は読まないのですが~」「初めてちゃんとした小説を読んでみて~」「本を読む習慣がないけれども~」などの、読書を習慣的に行っていない方の評価が多かったんです。

そんな方々が口々に『火花』を絶賛していました。


「芸人の世界をもっと世間に知って欲しい」と現役の芸人さんが書いた小説。


BJが何を言いたいのか何となくでもわかりますか?



つまり、



まるで映画やドラマを見ているかのように
その場面をリアルに思い描くことができる小説




なんです。


だからこそ僕はすぐに物語の中に又吉さんを見つけ、あまり本を読まない方にも活字を活字と思わせることなく読ませることができた。

そして何よりも、現役の知っている芸人さんが書いた限りなくリアルに近い芸人さんの物語を読んだ読者は、自然に感情移入ができたんだと思います。



場面ごとの描写がわかりやすく想像しやすいのは、勿論又吉さん自身の表現力や言葉のセンスがあってこそです。更にそこに、本物の芸人さんが実際に体験し感じたことを上乗せしていることがこの小説の魅力なんだとBJは思います。


小説家という方は、ある物語を執筆するにあたって、それこそその物語に関係するありとあらゆる資料や情報を集めて説得力をもたせているんだと僕は思っています。


しかし百聞は一見に如かず、いくら資料を集めそれを研究したところで、経験者には敵わないんです。何故ならばそこにはどうしても想像で補わなければならない箇所が存在するからです。

エベレストに登頂した男の物語があるとして、資料や映像を全て網羅した一流と呼ばれている小説家が書いた物語と、実際に登頂したことのある登山家が自信の経験に即した内容で書いた物語と、どちらがよりリアルな描写ができ説得力があるのか。



この『火花』という作品を読むことでBJは、著者の思惑通り芸人という世界を体験しました。
決して楽しいことばかりではない、むしろ辛い現実が目の前に広がってきました。

しかし、”人を笑顔にしたい”という強い気持ちで生きる芸人という生き方や職業を、読む前よりも増して尊敬するようになりました。


未だ読んだことのない方や機会があればと思って手を伸ばさなかった方、活字を読む習慣のない全ての方へおすすめできる本、いや本であって本でない本。


是非この機会に見てみては如何でしょうか!
きっとあなたにも見えるはずです。


夜空に輝く大輪の火花が・・・・



感想





ということでいかがでしたでしょうか。
又吉直樹著 『火花』でした。


2か月ほど本から離れて最初に読んだ本がこの『火花』でした。
色々と良いタイミングだったのかもしれないと今は思っています。


最後に余談ですが、この『火花』という作品を普段から本を読む習慣がある方が読むと、太宰治好きを公言している又吉さんの文章や表現が、かなり小説家っぽく書いている様に感じたり、一度太宰治というフィルターを通して表現しているようでかなりくどいみたいです(笑)



BJがそこんとこどう感じたのかは皆さんのご想像にお任せします(笑)


と自分で墓穴を掘りながらも、
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
この本があなたの人生を変える一冊になりますように。




以上BJRYOでした






この記事へのコメント